根をはって会津一円の信仰を集める立木観音。
「立木観音」と言えば会津に住んでいればわからない人がいないほど有名なお寺。(若者を除く)そこは恵隆寺(えりゅうじ)という。
国道49号線を新潟方面へ向かい会津若松を過ぎると次に賑やかな町に入る。そこが会津坂下(あいづばんげ)でその町内も過ぎて山が近くなると「塔寺」や「立木観音」の看板が出てくる。
49号線を右折して沿うように西へ向かうと右側に恵隆寺がある。
観光バスが頻繁に入るため駐車場が広くとってあり、茶店のような売店が数店、駐車場を囲んでいる。車から出ると「よってがせー」「お茶のんでがせー」と茶店のお嬢さんたちが手招きする。
同年配の方々は、お参りより先にその方言に誘われて冗談を返しながら茶店に吸い込まれるシーンが繰り返されている。
観世音菩薩と書かれた赤い提灯が下がる山門をくぐると、小さな庭のようなところを通って正面に見える観音堂へ向かう。訪れた季節は春で、赤や白い花が咲いていたが名前は知らない。
ここはいつ来ても参拝者が多くて、季節によってはあふれるような人数になるときがある。その名の通り、桂の立木をそのままいかしてを彫った仏像(8.5mで根がついたままの仏像としては国内最大級)というインパクトと何事も願いを叶える「抱きつき柱」の二大御利益で老若男女が集まるのだろう。
参拝者のほとんどが有料の立木観音を拝んでいくし、皆がわらいながら、はずかしがりながら柱に抱きついていく。
立木観音を見るには、観音堂で料金を払い中で待つ。ある程度集まるといよいよ始まる。カセットテープ(?)の再生をONにすると解説が流れはじめ、同時に若い住職が天井から垂れ下がる幕を引くと見上げるような(近くなのでなおさら)高さにやさしいお顔の観音様がお立ちになっている。これはでかい!(参考写真)
着色が残っている二十八部衆(室町時代作)たちも狭いところに並んでいて、仏像密度が高く迫力がある。しかし、庶民のものをお金を払わないと見られないようにしてしまうのは残念なところもある。
ずいぶん前のことだが、地元の老婆が外から熱心に拝んでいたので声をかけて少し話をしたのですが、昔はお金など払わずに自由に見られたらしい。地元の人がいちいちお金を払ってお参りするのは変な光景だし御仏の寛容な心で公開してほしい。(お盆の二日間は無料)
茅葺きの観音堂は、鎌倉初期に建てられた四間、単層寄棟造りの会津ではあまり見られない和様建築で昭和25年に国重要文化財に指定されている。
[] 内容の一部は歴史春秋社:会津の寺を参照しています
大同3年に徳一が再建したと言われる恵隆寺。千の慈手と千の慈眼をもつ木造千手千眼観音菩薩立像は、国重要文化財で鎌倉時代初期に作られたとされています。高さが8.5mの一木彫りで床下には根があり、日本最大級の木彫仏像です。
この観音様の回りには、風神、雷神をはじめとするほか二十八部衆が配され、それはそれは圧巻。観音堂は、和様でこちらも国重要文化財に指定されています。
おもしろいことにこの恵隆寺、勝常寺、恵日寺は会津盆地の中央に一直線に並んでいる。
[] ※参考:歴史春秋社刊「会津の寺」
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Basic information
- 恵隆寺(えりゅうじ)
- ■山名:金塔山(きんとうさん)
- ■開山:徳一 大同二年 807年
- ■宗派:真言宗
- ■会津三十三観音:三十一番札所
- ■本尊:木造千手千眼観世音菩薩立像[立木観音](国重)
木造二十八部衆立像・風神雷神像 - ■建物:山門・観音堂ほか
- ■行事:歳旦祭(さいたんさい)1月元旦、節分会追儺式(せつぶんえついなしき)2月節分、例大祭(れいたいさい)8月17・18日
恵隆寺