茅葺の弥陀堂にあふれる人々の祈り。
このサイトの中でも独特の雰囲気を持つ寺が「八葉寺」。
昼なお薄暗く空気はヒンヤリとしていて民家がすぐ近くにあるのに物音ひとつしない。何かを感じそうな感覚がある。
八葉寺があるのは、会津盆地を見下ろす東側でほんとうにきれいに会津盆地を見通すことができる。夜景が期待できそうなアングルですがまだ見たことはない。
冬木沢地区を会津盆地を背に進むと、村の中に小さな仁王門が現れる。隣は集会所のような建物。民家が隣接している。
白い舎利殿が見えているだけで、奥は木々にふさがれて見通すことができない。門をくぐるとここから空気がヒンヤリとしていて池があるが草木に覆われて見逃しそうなほどである、大きな木々が光を遮り曇り空の光をさらに弱めている。右側から奥へ行く道があるので辺りを見渡しながら進む。踏みしめる土の音がやけに大きく響く。
山側へいく道は墓地につながっていて、お堂側へ向かう道の間には桜の木の根元にいくつかの苔むした石仏や石碑がそこにある。
ひらけた場所の中心に、茅葺の阿弥陀堂。右に十王堂。左に空也堂がありここ全体の静寂を守っているようだ。阿弥陀堂は、国重要文化財に指定されており入母屋造の茅葺で妻入り部分を正面にして屋根が迫ってくる。茅葺屋根は、2015年に葺き替えされ新しくなったが、風雨で草がはえているのも趣がある。
舎利殿には、1万5千基の小さな五輪塔が収められている。その中には、死者の髪や歯、骨などが入っており故人の霊を祀っている。この五輪塔は、毎年8月1日から7日まで行われる冬木沢祭りに奉納する。「会津の寺」によると、戦前は臨時列車も出て新潟からも参拝者が来たそうである。祭りの日には、おかわさまという盲目のいたこが阿弥陀堂の周辺にむしろを敷いてすわり、参拝者の依頼に応じて死者の霊を呼び降ろしていたそうだ。
ここには撮影で何度も通っているが、普段は人気がないところで近隣の方らしい農民が熱心に阿弥陀堂前で手を合わせているのを何度か目撃している。静かな場所だけに祈りの気持ちが伝わってきて、興味本位で見てはいけないような気がして目をそらした。
400年以上も前から続く風習が今も会津に残っていることを考えると、厳しい自然に暮らす会津人の信心深さに心打たれる。
[] 内容の一部は歴史春秋社:会津の寺を参照しています
八葉寺(はちようじ)は、康保元年(964年)空也上人が開基したとされ、また空也堂には空也の像が奉られ墓も存在する。
阿弥陀堂(国重文)は、茅葺きの入母屋づくりに桁行三間、梁間三間の気品のある建物。そのほか伽藍内には、十王堂、空也堂、奥の院、姥堂、茶湯場があります。
会津では、家族が亡くなって100日経つと死者の髪の毛や歯、骨などを小さな木製の五輪塔に入れ、阿弥陀堂に奉納する習慣がありその五輪塔は冬木沢祭り (7/1〜11月)に行われていました。会津盆地のやや東に位置するお寺ですが、会津のお年寄りなら「冬木沢祭り」を知らない人がいないほど一般的な行事です。
この八葉寺は、ここで紹介している他のお寺とは違った独特の雰囲気を漂わせているお寺です。
[] ※参考書籍:歴史春秋社刊「会津の寺」
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Basic information
- 八葉寺(はちようじ)
- ■山名:如来山(にょらいざん)
- ■開山:空海上人 964年
- ■宗派:真言宗 室生寺派
- ■本尊:阿弥陀如来
- ■建物:仁王門・阿弥陀堂・十王堂・空也堂・奥の院・姥堂・茶湯場・舎利殿・鐘楼
八葉寺